BIOGRAPHY
結成〜プレ・ヒカシュー期
1977年8月9日、井上誠と山下康は共通の知人であった巻上公一のプロデュースする前衛パフォーマンス『コレクティングネット』の音楽を制作するため、抜弁天の巻上知人宅で初の共同作曲を行う。この時の使用楽器はRoland System-100、RS-202、Mellotronなどのエレクトロニクス・キーボード群とシタールやマドゥルなどのエスニック楽器群。
これらの楽曲は9月8日〜11日に明大前キッドアイラックホールのステージで『コレクティングネット』の舞台音楽として生演奏された後、9月末から秋津市の個人スタジオで再構成され、オープンリールのテープにマルチ録音された。
この録音作業中に井上と山下は井上の知人を介して逆瀬川健治と知り合う。逆瀬川はこの年のインド、ネパールの旅でタブラと遭遇し、独学で叩き始めたころだった。
10月から3人は井の頭公園の西園にたくさんの音具を運び出して頻繁に即興演奏を楽しむようになる。山下と井上の布袋からはウクレレやマンドリン、小さな紙製アコーディオン、シンバルを叩く猿のオモチャやひなびた電子音を出すブリキの光線銃など、逆瀬川は籐製の籠からタブラやラマシンバルなどを取り出してインドの風呂敷の上に広げ、3人とも演奏というよりも只々音を鳴らし続けることだけに夢中になっていた。
同年11月4日、3人は多摩美術大学芸術祭特設テント「ミュート」内でヒカシューとして初の即興ライブを行った。機材は井の頭公園に運んでいた音具一式とシンセサイザー、メロトロンに逆瀬川のタブラなど。小雨の中の仮設テントでのライブで観客は8人ほど。
12月26日から30日にかけて、湯河原町の井上の実家に楽器類を持ち込み3人で即興三昧の日々を過ごす。ここには巻上も訪れ、一緒に声の即興も楽しんだ。
1978年1月、逆瀬川の紹介で若林忠宏がヒカシューに参加。若林はシタールやサーランギなどアジアを中心とした膨大な民族楽器の収集、演奏家で、即興演奏に使用する楽器の種類はどんどん増えていった。またこの頃、井上の友人の佐々木幸子と加藤伸代も参加して即興遊びのメンバーは6人となる。佐々木は井上の東京キッドブラザース時代の知人で『コレクティングネット』の本番ではメロトロンを弾いていた。加藤は井上の高校演劇時代からの知人で、この当時は日夏たよりの芸名で演劇実験室・天井棧敷の女優としても活躍していた。
3月、井上、山下、逆瀬川の3人は井上の知人が制作した映画『マイネ・リフレクション』の音楽を制作。
4月15日、元麻布の天井棧敷館で6人による単独ライブ『ヒカシュー デビュー!』を開催。
5月13日、お茶の水の明大記念館で開催された音楽イベントFree Music Spaceにヒカシューとして6人で参加。
7月2日、吉祥寺の羅宇屋にてヒカシューの単独ライブ。この公演を最後に6人での演奏は終了する。この当時のライブ音源を後年CD化する際、現在巻上公一を中心に活躍中のヒカシューと区別するためにユニット名をプレ・ヒカシューと呼び換えている。
7月13日の早朝、山下と井上は新宿花園神社近くのアートシアター宿で3台のシンセサイザーだけのライブを行った。
7月15、16日には江古田マーキーで巻上主催の劇団ユリシーズの『幼虫の危機』を上演。このとき巻上は再び山下に劇中音楽を依頼し、「プヨプヨ」や「幼虫の危機」などのオリジナル曲が生まれた。終演後に山下、井上、巻上らは次々とオリジナル曲を作るようになり、8月29日には吉祥寺の羅宇屋で<パワー・ポップ>のバンドに変貌したヒカシューがデビュー・ライブを行った。
転換〜イノヤマランド誕生
井上と山下は新形態となったヒカシューの一員としてライブ活動を行うようになるが、1979年4月15日には渋谷のロック喫茶・ナイロン100%で井上、山下の2人だけのライブを行った。これはヒカシューのプロデュースによる4回連続企画『マラソン・インプロヴィゼーション』の第1回目で、このときはユニット名を「スウィッチ」と名乗った。演奏は即興ではなく、シンセサイザーとリズムボックスを使った10分程の構成曲を5曲演奏している。使用楽器は山下がYAMAHA CS-40とRoland TR78、井上がMellotronとRoland Jupiter-4。
1981年8月、井上と山下はナイロン100%で開催された『近代青年の集い』というイベントに出演。このときのユニット名は「ガンジンダン・ポジドン」だった。使用楽器は山下がRoland-SH-1000、井上がRoland Jupiter-8。
1982年10月、井上と山下は上野耕路の勧めで渋谷のライブハウス La.mamaでの単独ライブを開催。この時からライブでのユニット名もイノヤマランドと名乗るようになった。使用楽器は山下がRoland-SH-1000とYAMAHA CS-40、井上がRoland Jupiter-8。ゲストとして逆瀬川がタブラとパーカッション、上野がグランドピアノで参加。
同月、イノヤマランドは郵便貯金ホールで開催された薩めぐみのコンサートにサポート・ミュージシャンとして参加、コンサート中程で15分ほどイノヤマランドの作品を演奏した。使用楽器は山下がYAMAHA CS-40、井上がRoland Jupiter-8とMellotron。
1983年5月、イノヤマランドは前年から井上の自宅スタジオで録音してきたマルチトラック素材をLDKスタジオに運び、『DANZINDAN-POJIDON』のためのミックス作業を始める。プロデュースは細野晴臣。
1984年3月、渋谷のPithecanthropus Erectusにて『DANZINDAN-POJIDON』のリリース記念ライブ。使用楽器は山下がYAMAHA DX-7、井上がRoland Jupiter-8とPPG Wave2,2。ゲストとして逆瀬川がタブラとパーカッションで参加。
この後の14年間、イノヤマランドとしての公の場でのライブは行われなくなった。
ライブ活動再開〜再評価
1998年、新宿リキッドルームで開催されたイベントでイノヤマランドは14年ぶりに本格的なライブを再開する。使用楽器は山下がCASIOTONE MT-750、井上がKurzweil K2000。(以下2010年まで同一セッティング)
1998年12月23日 UPLINK FACTORY(旧)「AMBIENT CHRISTMAS」w/ TAGOMAGO、DJ 永田一直
2000年 3月11日 吉祥寺STAR PINE’S CAFÉ w/ ヒカシュー
8月 日 北海道東川町国際写真フェスティバル「写真の星座」
11月11日 吉祥寺STAR PINE’S CAFÉ w/ ヒカシュー
2001年 3月24日 秋葉原CLUB GOODMAN w/ SKYFISHER、松前公高、他
5月17日 お台場TRIBUTE TO THE LOVE GENERATION w/ヒカシュー、知久寿焼
7月 9日 熱海トリエンナーレ旧松下邸温室 w/巻上公一
2002年 5月 3日 渋谷青い部屋 w/ 倍音S、他
北海道東川町国際写真フェスティバル「写真の星座」
2005年 7月27日 吉祥寺STAR PINE’S CAFÉ w/ヒカシュー
8月19日 新宿御苑and Zone w/ tagomago、tamaru、他
2006年 7月 8日 吉祥寺STAR PINE’S CAFÉ w/ヒカシュー
2007年 6月17日 品川区正満寺『寺へ』 w/三田村管打団?、Lullatone、popo、他
2008年 1月19日 高円寺円盤
2008年 6月26日 吉祥寺STAR PINE’S CAFÉ w/ヒカシュー
2010年 8月25日 吉祥寺STAR PINE’S CAFÉ w/ヒカシュー
使用楽器は山下がCasiotone MT-750、井上がRoland Fantom-G6。(以下2019年現在まで継続使用)
2010年 9月18日 高円寺円盤
2010年12月23日 湯河原町独歩の湯『冬ホタル』 w/ 巻上公一
2011年 9月 3日 横浜市視聴室その2
2012年 9月22日 高円寺円盤
2014年 4月 6日 高円寺円盤 w/柳家小春
2016年 1月16日 吉祥寺STAR PINE’S CAFÉ w/ヒカシュー
2017年 2月22日 吉祥寺STAR PINE’S CAFÉ w/ヒカシュー
2018年 5月12日 渋谷Galaxy-Gingakei
8月10日 梅田ハードレイン w/黒やぎ白やぎ
8月25日 渋谷Galaxy-Gingakei w/リョウアライ+益子樹 (ROVO/DUB SQUAD)
DJ FROZEN ELECTRONIC WAVE w/永田一直/小暮秀夫/谷田部慎一
9月15日 マウントピア黒平『CAMP Off-Tone 2018』w/Morgan Fisher、Chee Shimizu、SUGAI KEN、
KAITO aka HIROSHI WATANABE、Koss a.k.a. Kuniyuki、他
11月24日 渋谷UPLINK FACTORY
2019年2月13日 神保町視聴室2
4月20日 浜離宮恩賜庭園『RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2019』
w/DâM-FunK、Awich、machìna、他
5月12日 渋谷UPLINK FACTORY w/ケアル
7月28日 中野区大和町八幡神社『DAIBON』
w/ちんどん!あづまや、CASIOトルコ温泉、ジンタらムータ、 久下恵生、アラゲホンジ、
柳家小春、OMK、Donuts Disco Deluxe、他
8月25日 渋谷UPLINK FACTRY『INOYAMALAND CONCERT 2019 SUMMER』 w/永田一直
12月22日 代官山UNIT 『ヒカシュー天然のクリスマス』 w/ヒカシュー 、小川美潮、大槻ケンヂ
12月25日 吉祥寺STAR PINE’S CAFÉ 『マンスリーヒカシュー』 w/ヒカシュー
2020年 4月 3日 ライブ・ビデオ・ストリーム放送『Live video for Lighit In The Attic』
9月16日 渋谷SUPER DOMMUNE『イノヤマランドと日本の環境音楽大百科』
11月 1日 つま恋リゾート彩の郷『FESTIVAL DE FRUE』
w/ 松永良平、Fabiano Do Nascimento、Manami Kakudo、折坂悠太、他
11月 3日 水戸芸術館広場 『MUSIC FOR ENVIRONMENT』
w/ 梅沢英樹+上村洋一+小金沢健人、蓮沼執太、𣏤栂木一徳
11月20日 渋谷パルコ『BOILER ROOM X DOMMUNE/10 YEAR ANNIVERSARY』
2021年 2月 6日 渋谷ストリームホール 『NANO MUTEK JP』 w /Manami Sakamoto
3月 6日 横浜市泉区テアトルフォンテ 『水宇宙』 w/豊田直之
12月 4日 渋谷Galaxy-Gingakei 『静音(SeiOn)』 w/小久保隆、Shino Ayane
12月18日 渋谷SUPER DOMMUNE w/CHERRYBOY FUNCTION、KING OF OPUS
12月28日 吉祥寺STAR PINE’S CAFÉ 『マンスリーヒカシュー』 w/ヒカシュー
2022年 5月15日 静岡県富士市 富士山こどもの国で開催の音楽フェス『FUJI & SUN ’22』に出演
5月28日 長野県木曽郡木祖村「こだまの森」で開催の音楽フェス『FFKT 2022』に出演
8月26日 吉祥寺STAR PINE'S CAFÉ 『マンスリーヒカシュー』 w/ヒカシュー
12月30日 吉祥寺STAR PINE'S CAFÉ 『マンスリーヒカシュー』 w/ヒカシュー、マリアンヌ東雲、KERA
2023年 7月8日 渋谷Galaxy-Gingakei 『アンビエント・コレクション』w/Naka Tomizawa, TAMARU, Queer Nations 他
9月23日 ロサンゼルスJACCC 『Kankyo-Ongaku, An Evening of Environmental Music 』
(ライブ・ストリーミングで出演)w/ Visible Cloaks, Yoshio Ojima & Satsuki Shibano 他
10月15日 山梨県北杜市 『Camp Off-Tone 2023』
w / Takashi Kokubo+ Naoki Tate, Sound Furniture, Yoshio Ojima & Satsuki Shibano 他
10月28日 北海道ニセコ町 有島記念館 w/Chiharu MK
10月29日 北海道小樽市 市立小樽文学館 (小樽ブックアートウイーク2023関連企画)
12月28日 吉祥寺STAR PINE'S CAFÉ 『マンスリーヒカシュー』 w/ヒカシュー、マリアンヌ東雲
2024年 5月 3日 片瀬江ノ島オッパーラ『TRANSONIC RECORDS 30th ANNIVERSARY PARTY PART 1』
w / SUZUKISKI、KING OF OPUS、SIGH SOCIETY、CHERRYBOY FUNCTION